墓じまいをすることに不安や迷いを感じていませんか?
お墓は先祖や家族の思い出の場所ですが、維持管理が困難になったり、継承者がいなくなったりすると、墓じまいを考えざるを得なくなります。
しかし、一度墓じまいをしてしまうと元に戻すことはできないため、墓じまいをすることを決断できずに後悔してしまう人も少なくありません。
そんなあなたのために、この記事では墓じまいで後悔しないためのポイントを実際に墓じまいをした人の声をもとにお伝えします。
お墓は大切なご先祖様のために建てられたものです。
だからこそ、後悔しないように慎重に考えて決めたいものですね。
墓じまいで起こるトラブル
目次
★墓じまいとは?
★墓じまいする人が増えている理由
親族とのトラブル事例と解決方法
墓じまいをする際には、親族の同意や協力が必要ですが、それが得られない場合もあります。
以下では、親族とのよくあるトラブルとその解決法をご紹介します。
「ご先祖様に失礼だ!罰当たりだ!」と反対される
墓じまいをすることを親族に伝えたら、「ご先祖様に失礼だ!罰当たりだ!」と激しく反対されることがあります。
このような場合、どうやって説得することができるのでしょうか。
原因・理由
「ご先祖さまに失礼だ!」と反対される理由は、親族の価値観や感情に基づくものであることが多いです。
反対する親族が持っている価値観・感情
- お墓は代々受け継いでいくものだという伝統的な考え方に基づくもの
- お墓を撤去することはご先祖様に対する敬意や感謝の気持ちがないという感情的なもの
- お墓を撤去するとご先祖様の祟りや地獄へ落ちるという宗教的なもの
反対する親族は自分たちの立場や思いを無視されていると感じている可能性が高いです。
そのため、反対する親族の意見を否定したり攻撃したりすることは、かえってトラブルを招く恐れがあります。
事例
墓じまいを反対されて困っている人たちの実例を紹介します。
Aさん
Aさんは、遠方にある先祖代々のお墓を維持管理できなくなったため、墓じまいを決断しました。
しかし、本家筋の親戚から「本家の手前勝手なことをするな」と反対されました。
Aさんは、「本家筋ではなくても先祖への感謝は変わらない」と説明しましたが、親戚は納得しませんでした。
Bさん
Bさんは、子供がおらずお墓を継ぐ人がいなかったため、墓じまいを決断しました。
しかし、兄弟から「お墓が無くなったら寂しい」と反対されました。
Bさんは、「お墓が無くても供養はできる」と説明しましたが、兄弟は納得しませんでした。
対策・解決方法
墓じまいを反対される理由は、親族の価値観や感情に基づくものであることが多いです。
これらの理由は、親族の価値観や感情に基づくものであり、一方的に否定することはできません。
しかし、それらを尊重しつつも、墓じまいをすることには合理的な理由があることを伝える必要があります。
例えば、以下のような理由です。
墓じまいを行う合理的な理由
- 継承者や管理者がいなくなると、お墓は荒れ墓や無縁墓になってしまう
- 遠方でお墓の管理やお参りが困難になる
- お墓の年間管理料や離檀料などの費用が負担になる
- お墓は財産ではなく、故人や先祖への供養の場所であること
- 祟りというのは人間が行った悪事・悪行に対する報いであり、何もないところに降って湧く災難ではないこと
これらの理由を伝えることで、親族と円満に話し合い、後悔しない墓じまいができる可能性が高くなります。
お参りする場所が欲しいと反対される
墓じまいをすることを親族に伝えたら、「お参りする場所が欲しい」と反対されることがあります。
このような場合、どうやって説得することができるのでしょうか。
原因・理由
「お墓参りをする場所が欲しい」と墓じまいを反対される理由は、親族の宗教観や感情に基づくものであることが多いです。
反対する親族が持っている価値観・感情
- お墓は故人の霊を祀る場所だという宗教的な考え方に基づくもの
- お墓は故人との繋がりや思い出の場所だという感情的なもの
- お墓は親族や地域社会への責任や義務だという社会的なもの
反対する親族は自分たちの立場や思いを無視されていると感じている可能性が高いです。
そのため、反対する親族の意見を否定したり攻撃したりすることは、かえってトラブルを招く恐れがあります。
事例
墓じまいを反対されて困っている人たちの実例を紹介します。
Cさん
Cさんは、遠方にある先祖代々のお墓を維持管理できなくなったため、墓じまいを決断しました。
しかし、兄弟から「お墓は父母や祖父母と話す場所だ」と反対されました。
Aさんは、「お墓が無くても心で話すことはできる」と説明しましたが、兄弟は納得しませんでした。
Dさん
Dさんは、子供がおらずお墓を継ぐ人がいなかったため、墓じまいを決断しました。
しかし、従兄弟から「お墓は先祖から受け継いだ財産だ」と反対されました。
Bさんは、「お墓に金銭的な価値はない」と説明しましたが、従兄弟は納得しませんでした。
対策・解決方法
墓じまいを反対される理由は、親族の宗教観や感情に基づくものであることが多いです。
そのため、反対する親族の意見を否定せずに尊重しつつ、墓じまい後の供養方法や場所について相談し、納得してもらえるように努めましょう。
墓じまい後の供養方法や場所については、以下のような選択肢があります。
墓じまい後の供養方法
- 永代供養:寺院や霊園が代々供養・管理してくれる方法
- 樹木葬:樹木を墓標とした自然に還る方法
- 散骨:遺骨を海や空にまく自然に還る方法
- 手元供養:遺骨を自宅やペンダントなどで身近に保管する方法
etc...
これらの方法は、それぞれメリットやデメリットがあります。
反対する親族と一緒に、故人の意思や家族の事情に合った方法を選ぶようにしましょう。
さらに、改葬先で一定期間ごとに法要を行ったり、共同でお参りできるようにしたりすることで、親族の不安や寂しさを和らげることができます。
これらの対策を取ることで、親族と円満に話し合い、後悔しない墓じまいができる可能性が高くなります。
誰が墓じまいするべきかで揉める
墓じまいをする際、誰が墓じまいをするべきか親族間で揉めることはよくあります。
このような場合、どうやって決めればいいのでしょうか。
原因・理由
お墓の所有権は、民法第897条により、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継するとされています。
ただし、被相続人の指定に従って祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継します。
また、慣習が明らかでない場合は、家庭裁判所が承継すべき者を定めます。
しかし、実際には、慣習や指定があいまいな場合や、承継者がお墓を引き受けたくない場合など、墓じまいをするべき人が一様に決まらないことも多いです。
事例
墓じまいをするべき人で揉めるトラブルの事例としては、以下のようなものがあります。
Eさん
長男であるEさんがお墓を引き継ぐことになっていましたが、経済的に困窮しており、墓じまいの費用を払えません。
そこで兄弟に相談しましたが、誰も引き受けてくれませんでした。
Fさん
長女であるFさんがお墓を引き継ぐことになっていましたが、遠方に住んでおり、墓じまいをしたくても現地に行けません。
そこで近くに住む親戚に頼みましたが、断られてしまいました。
対策・解決方法
墓じまいをするべき人で揉めるトラブルの解決方法としては、以下のようなものがあります。
解決方法
- 親族間で話し合って協力して負担する。
-費用を分割して支払ったり、作業を手伝ったりする。 - 第三者の仲介やアドバイスを受ける。
-弁護士や司法書士などの専門家に相談したり、民事調停や仲裁などの制度を利用したりする。
まずは親族間で話し合って祭祀承継者を決めましょう。
話し合いで決まらない場合は第三者の仲介や調停を利用すること、家庭裁判所に申し立てることをオススメします。
墓じまいの費用負担や手続きで揉める
墓じまいをする際、誰が墓じまいの費用・手続きを負担するべきか親族間で揉めることはよくあります。
このような場合、どうすればいいのでしょうか。
原因・理由
費用負担や手続きで揉めるトラブルは、以下のようなケースが原因で発生します。
費用・手続きトラブルの原因
- お墓の名義人が他の親族にも一部負担を求めるが、断られる
- お墓の名義人が不明で、誰も費用を負担したくない
- お墓の名義人が遠方に住んでおり、現地での手続きができない
- お墓の名義人が高齢や病気で手続きができない
- お墓の名義人以外の親族が手続きを行おうとするが、許可されない
事例
以下では、実際に起きたトラブル事例とその解決策を紹介します。
Gさん
Gさんは祭祀承継者であり墓じまいをする必要がありますが、費用を全てを負担するのは厳しく思っていました。
そこで親族に一部を負担してくれないか相談しましたが、誰も負担してくれませんでした。
Hさん
Hさんは祭祀承継者であり墓じまいをする必要がありますが、お墓の遠方に住んでおり、現地での手続きができず困っていました。
そこで「みんなの墓じまい」という墓じまい代行サービスを利用しました。
手続きのサポートをしてくれたおかげで、スムーズに墓じまいをすることができました。
対策・解決方法
費用負担・手続きで揉めるトラブルを解決するには、以下のような方法があります。
費用・手続きトラブルの解決法
- お墓の名義人を確認し、その人が主体的に費用を支払う
- 他の親族にも協力を依頼し、事情や考えを説明する
- 費用を分割して支払うか、メモリアルローンなどの金融サービスを利用する
- お墓の名義人が委任状や遺言書などで代理人を指定する
- 近くに住む親族や友人に協力してもらう
- 墓じまい代行業者や司法書士などの専門家に依頼する
墓じまいをする際には、お墓の所有者である祭祀承継者が主体となって費用や手続きを行うことが基本です。
しかし、祭祀承継者が一人で負担するのが困難な場合があります。
そのような場合には、親族や関係者と話し合って、費用や手続きの負担を分担することが必要です。
また、補助金やメモリアルローンなどの制度も活用できます。
しかし「自分たちはお墓に行ってもいないから払わなくてもいい」という兄弟や「お墓は本家のものだから本家が払えばいい」という兄弟が出てくることもあります。
この場合は、「お墓は先祖への供養の場所であり、財産ではないこと」や「お墓の管理料や離檀料は公平に分けるべきだという法律があること」などを説明すると、納得してもらえるケースが多いです。
改葬先・供養方法で揉める
墓じまいをする際には、改葬先や供養方法について親族や関係者の意見が一致しない場合があります。
このような場合はどうすればいいでしょうか。
原因・理由
親族間で改葬先や供養方法に関して揉める理由は様々ですが、一般的には以下のようなものが挙げられます。
改葬先や供養方法に関して揉める理由
- 改葬先や供養方法の種類が多くて選びにくい
- 改葬先や供養方法に対する価値観や感情が異なる
- 改葬先や供養方法に対する知識や情報が不足している
事例
Iさん
Iさんは、夫婦二人暮らしで子どもがいません。
Iさんの夫は亡くなりましたが、Iさんは夫の実家にあるお墓に埋葬されたくありません。
Iさんは夫の遺志を尊重して海洋散骨をしたいと考えましたが、夫の両親から反対されました。
「息子さんの希望です」と言っても、夫の両親は「海に撒くなんて冒涜だ」と言い全く聞き入れてくれませんでした。
対策・解決方法
改葬先や供養方法で揉めるトラブルを解決するには、以下のような方法があります。
改葬先や供養方法で揉めないための対策
- 改葬先や供養方法の選択基準を明確にする
- 親族や関係者と話し合って合意形成を図る
- 専門家や第三者機関に相談する
ちなみに改葬先や供養方法を選ぶ基準には以下のようなものがあります。
改葬先や供養方法を選ぶ基準
- 改葬先や供養方法は故人の意思や生前の様子に沿っているか
- 改葬先や供養方法は法律や宗教上の問題がないか
- 改葬先や供養方法は費用や手間が適切か
- 改葬先や供養方法は将来的に継続できるか
改葬先や供養方法を選ぶ基準を共有・明確にした上で、親族や関係者と合意形成を図ることが後悔しない墓じまいをするために重要です。
お寺(寺院)とのトラブル事例と解決方法
お寺が墓じまいを認めず、遺骨を引き渡さない
墓じまいをしようとした際、お寺が墓じまいを認めず、遺骨を引き渡してくれないことがあります。
このような場合、どうすればいいのでしょうか。
原因・理由
お寺が墓じまいを認めない理由は様々ですが、一般的には以下のようなものが挙げられます。
お寺が墓じまいを認めない理由
- お墓は先祖への供養の場所であり、撤去するのは不敬である
- お墓は檀家とお寺の絆の象徴であり、離檀するのは信仰心がない
- お墓はお寺の財産であり、管理者である住職に撤去の権限がある
- お墓はお寺の収入源であり、撤去すると経営が困難になる
事例
以下に、「お寺が墓じまいを認めず遺骨を引き渡してくれない」トラブルの実例を紹介します。
Jさん
Jさんはお寺の住職に「墓じまいをしたい」という思いを伝えました。
しかし、墓じまいや離檀に反対して住職が墓じまいに協力をしてくれず、遺骨の引き渡しを拒否されてしまいました。
Jさんは墓じまいに関する知識が少なく、反論することができませんでした。
対策・解決方法
お寺が墓じまいを認めない場合には、以下のような対策が必要です。
お寺が墓じまいを認めない場合の対策
- お寺の立場や理由を理解する
- お寺との話し合いを進める
- 法的な権利や義務を確認する
- 専門家や第三者機関に相談する
ちなみに住職が話し合いに応じてくれない場合は
- 「遺骨は慣習に従って祭祀を主宰すべき者に帰属するものであり、祭祀承継者であればお寺の許可がなくても遺骨は取り出せること」
- 「遺骨の引き渡しを拒否することは不法行為であり、損害賠償請求の対象になること」
などを説明すると解決できることが多いです。
それでもダメな場合や初めから住職と話したくないという人は「みんなの墓じまい」などの代行業者に依頼することをオススメします。
高額な離檀料や未納管理費を請求される
墓じまいをする際には、お寺に対して檀家をやめることを伝える必要があります。
このとき、お寺から高額な離檀料や未納管理費を請求される場合があります。
このような場合はどう対処すればいいのでしょうか。
原因・理由
お寺から高額な離檀料や未納管理費を請求される理由は様々ですが、一般的には以下のようなものが挙げられます。
お寺から高額な離檀料や未納管理費を請求される理由
- 離檀料はお寺への感謝の気持ちとして慣習的に支払うものであり、金額はお寺の裁量に任されている
- 未納管理費はお墓の管理・維持にかかった費用であり、支払わなければお墓を撤去される
- 離檀料や未納管理費はお寺の収入源であり、支払わなければ経営が困難になる
これらの理由は、お寺の立場や価値観に基づくものであり、一方的に否定することはできません。
しかし、それらを尊重しつつも、離檀料や未納管理費の金額や根拠に疑問がある場合は、確認することが必要です。
事例
以下に、「高額な離檀料や未納管理費を請求される」トラブルの実例を紹介します。
Kさん
Kさんはお寺の住職に「墓じまいをしたい」という思いを伝えました。
住職は了承しましたが、離檀料という名目で200万円や300万円もの金額を請求してきました。
Lさん
Lさんはお寺の住職に「墓じまいをしたい」という思いを伝えました。
住職は了承しましたが、長年管理費の支払いもなくお墓が放置されていたという理由で、未納管理費を遡って請求してきました。
対策・解決方法
お寺が高額な離檀料や未納管理費を請求してくる場合には、以下のような対策が必要です。
お寺から高額な離檀料や未納管理費を請求される場合の対策
- 離檀料や未納管理費の金額や根拠を確認する
- 離檀料や未納管理費の支払いについて交渉する
- 法的な権利や義務を確認する
- 専門家や第三者機関に相談する
離檀料や未納管理費の金額や根拠に疑問がある場合は、確認することが必要です。
例えば、以下のような点です。
離檀料や未納管理費について確認すべき事項
- 離檀料は法的に義務ではなく任意であること
- 離檀料は過去10年分程度で相場は数万円から数十万円程度であること
- 未納管理費は支払期日から5年間を経過することで消滅時効にかかること
- 未納管理費は過去分だけでなく将来分も含まれている場合があること
また、離檀料や未納管理費に関しては法律上の規定もあります。
離檀料:民法第90条により「不当利得」として返還請求できる場合があります。
未納管理費:民法第167条により「不法行為」として損害賠償請求できる場合があります。
これらの対策を取ることで、高額な費用を払わなくて済む可能性が高くなります。
魂抜き・閉眼供養を忘れて揉める
墓じまいをする場合には、お墓に宿っている故人の魂を抜き取るための儀式である「魂抜き・閉眼供養」が必要です。
が魂抜き・閉眼供養を忘れてしまいお寺と揉めてしまうことがあります。
原因・理由
日本では昔から、お墓や仏壇には故人の魂が宿るとされています。
そのため、墓じまいやお墓の引越し、リフォームなどでお墓から遺骨を取り出す際には、故人の魂を抜き取ることが必要です。
この儀式を「魂抜き・閉眼供養」と呼びます。
閉眼は「仏の目を閉じる」という意味で、「閉眼供養」はお墓に宿っている故人の魂を抜き取って普通の石に戻すことを指します。
魂抜き・閉眼供養は故人の冥福や安らぎを願う大切な儀式です。
魂抜き・閉眼供養をしないと、以下のような問題が起こる可能性があります。
魂抜き・閉眼供養を忘れると起こる問題点
- お墓に魂が残ったまま撤去されると、故人の冥福が阻まれる。
- お墓に魂が残ったまま移動されると、故人の怨霊になる
- お墓に魂が残ったまま処分されると、故人の無縁仏になる
事例
以下に、「魂抜き・閉眼供養を忘れて揉める」トラブルの実例を紹介します。
Mさん
Mさんは石屋さんにお墓の撤去を依頼しましたが、魂抜き・閉眼供養をすることを知らずお墓を撤去してしまいました。
お寺からは「魂抜き・閉眼供養をしないと故人の冥福が阻まれる」と説明を受け、厳重に注意されました。
対策・解決方法
「魂抜き・閉眼供養を忘れて揉める」トラブルは以下のように対処できます。
魂抜き・閉眼供養を忘れて揉めないための対策
- お寺や宗派によって異なる魂抜き・閉眼供養の方法や準備物を確認する
- 僧侶に依頼してお墓の前で読経や法要を行う
- 僧侶にお布施や御車代を渡す
- 遺骨を取り出した後は新しい納骨先で開眼法要を行う
墓じまいする際は、故人の冥福や安らぎを願う大切な儀式である魂抜き・閉眼供養を確実に行いましょう。
石材店とのトラブル
高額な工事費を請求される
墓じまいをする際、石材店とのトラブルで最も多いのが、高額な工事費を請求されるケースです。
このような場合はどうすればいいでしょうか。
原因・理由
墓じまいの工事費は、お墓の大きさや形状、材質、地盤の状態などによって異なりますが、一般的には50万円から100万円程度が相場です。
しかし、一部の悪質な石材店は、見積もりを出さなかったり、契約書を作らなかったりして、工事後に高額な追加料金を請求することがあります。
また、工事内容が見積もりや契約書と異なる場合や、工事が不十分な場合もあります。
事例
Nさん
Nさんは、祖父母のお墓を解体するために石材店に依頼しました。
見積もりは60万円でしたが、工事後に「基礎の撤去や遺骨の移動などで追加料金が発生した」として120万円を請求されました。
契約書は作っていなかったため、支払いを拒否すると「裁判に訴える」と脅されました。
Oさん
Oさんは、両親のお墓を解体するために石材店に依頼しました。
見積もりは80万円でしたが、工事後に「お墓の基礎が深くて予想以上に時間と手間がかかった」として150万円を請求されました。
契約書は作っていたものの、追加料金についての記載がなく、明細も出してもらえませんでした。
対策・解決方法
墓じまいの石材店とのトラブルで高額な工事費を請求されることはよくあることです。
これを防ぐためには以下の対策が必要です。
高額な工事費請求トラブルの対策
- 複数の石材店から見積もりを取り、相場や評判を比較する
- 見積もりや契約書には工事内容や費用の明細を記載し、追加料金が発生しないことを確認する
- 工事前後にお墓の写真や動画を撮っておき、工事内容や品質をチェックする
- トラブルが発生した場合は、消費生活センターや弁護士などに相談し、証拠や交渉記録を残す
以上の対策を行うことで、高額な工事費を請求されるトラブルを防ぐことができます。
墓石の処分が悪質だった(不法投棄)
石材店とのトラブルで、墓石の処分が悪質だった(不法投棄される)というケースがあります。
このような場合はどうすればいいでしょうか。
原因・理由
墓じまいの工事では、墓石は産業廃棄物として処理されることが多く、その費用は1トンあたり1万円程度かかります。
しかし、一部の悪質な石材店は、見積もりや契約書に処分費用を含めなかったり、高額な追加料金を請求したりして、工事後に墓石を不法投棄することがあります。
不法投棄は廃棄物処理法に違反する行為であり、5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金又はその両方が科される可能性があります。
また、不法投棄された墓石は、土地の所有者や管理者に迷惑をかけるだけでなく、環境や景観を損なうことにもなります。
事例
Pさん
Pさんは、祖父母のお墓を解体するために石材店に依頼しました。
見積もりは50万円でしたが、工事後に「墓石の処分費用が別途必要だ」として100万円を請求されました。
契約書には処分費用の記載がなく、明細も出してもらえませんでした。
その後、女性がお墓のあった場所を訪れると、墓石は近くの空き地に不法投棄されていました。
Qさん
Qさんは、両親のお墓を解体するために石材店に依頼しました。
見積もりは80万円でしたが、工事後に「墓石の処分費用が高くついた」として150万円を請求されました。
契約書には処分費用の記載がありましたが、金額や方法は明記されていませんでした。
その後、男性がお墓のあった場所を訪れると、墓石は近くの川に不法投棄されていました。
対策・解決方法
石材店とのトラブルで墓石の処分が悪質だった(不法投棄される)ということは稀に起こる事象です。
これを防ぐためには以下の対策が必要です。
墓石処分悪質トラブルの対策
- 複数の石材店から見積もりを取り、相場や評判を比較する
- 見積もりや契約書には処分方法や費用の明細を記載し、不明な点は確認する
- 工事前後にお墓の写真や動画を撮っておき、工事内容や品質をチェックする
- トラブルが発生した場合は、警察や消費生活センターなどに相談し、証拠や交渉記録を残す
以上の対策を行うことで、墓石が悪質に処分されるトラブルを防ぐことができます。
墓石の解体工事がずさんだった
石材店とのトラブルで、墓石の解体工事がずさんだったというケースがあります。
このような場合はどうすればいいでしょうか。
原因・理由
墓石の解体工事は、一般的には石材店との契約に基づいて行われます。
そのため、契約内容や見積もり書などには、工事の範囲や費用、期間、品質などが明記されているはずです。
これらの書類は、工事の進捗や完成度を確認する際に重要な証拠となります。
事例
以下に、墓石の解体工事がずさんだったトラブルの事例を紹介します。
Rさん
Rさんは墓じまいをするために石材店に墓石の解体工事を依頼したが、工事中に遺骨が散乱してしまった。
遺骨は神聖なものであり、散乱させることは非常に不敬であると感じた。
石材店に対して遺骨の回収と供養を依頼し、慰謝料や返金を求めた。
しかし、石材店は責任を認めず、対応に応じなかった。
そこで消費者センターに相談し、仲介してもらった結果、石材店は遺骨の回収と供養を行い、慰謝料と返金を支払うことに同意した。
Sさん
Sさんは墓じまいをするために石材店に墓石の解体工事を依頼したが、工事後に墓地管理者から追加費用を請求された。
墓地管理者は、墓石の解体工事によって墓地が汚れたり傷ついたりしたと主張し、清掃費や修復費などを要求した。
しかし、契約内容や見積もり書には、そのような追加費用は含まれていなかった。
石材店に対して追加費用の不当性を主張し、契約内容や見積もり書を提示した。
石材店は、追加費用の請求は無効であると認め、墓地管理者に対して説明してくれた。
その結果、墓地管理者は追加費用の請求を取り下げた。
対策・解決方法
墓石の解体工事がずさんだった場合、石材店に対して不満や苦情を伝えることができます。
もし、工事が契約内容や見積もり書と異なっていたり、不備や不具合があったりした場合は、石材店に対して改善や返金を求めることができます。
その際には、写真や動画などで工事の状況を記録しておくことも有効です。
しかし、石材店が対応に応じなかったり、納得できない回答をしたりした場合は、契約内容や見積もり書などの証拠を保管しておくことで、必要に応じて消費者センターや弁護士などに相談することも可能です。
消費者センターは、無料で相談を受け付けてくれる機関であり、トラブルの解決方法や必要な手続きなどをアドバイスしてくれます。
弁護士は、法的な手段を用いてトラブルの解決を図ってくれますが、費用がかかる場合があります。
工事の品質や費用については、事前に石材店としっかりと確認し、書面で残すことがトラブルを防ぐために重要です。
改葬先とのトラブル
改葬先とのトラブル
開眼供養を忘れて揉める
墓じまいをする際、開眼供養を忘れてしまうと、改葬先とのトラブルに発展する可能性があります。
このようなトラブルを避けるためにはどうすればいいでしょうか。
原因・理由
開眼供養とは、新しく建てたお墓や仏壇に故人の魂を宿す儀式です。
開眼供養を行わないと、お墓や仏壇はただの物になってしまい、故人の魂が安らかにならないと考えられています。
事例
開眼供養を忘れて揉める事例としては、以下のようなものがあります。
Tさん
Tさんはお墓を新たに購入した際、開眼供養を行わずに納骨をしてしまいました。
改葬先の寺院に開眼供養を行っていないことが発覚し、追加料金や再度の納骨を求められてしまいました。
Uさん
Uさんは仏壇を引き継ぐ際に、開眼供養の有無を確認せずに受け取ってしまいました。
引き継ぎ元の親族に開眼供養を行っていないことが発覚し、不信感や不満が生じてしまいました。
対策・解決方法
開眼供養を忘れて揉める事例の解決方法としては、以下のようなものがあります。
開眼供養を忘れて揉めるトラブルの解決方法
- 開眼供養を行わずに納骨や安置をしてしまった場合は、改葬先の寺院や霊園と相談して、できるだけ早く開眼供養を行うようにしましょう。
追加料金や再度の納骨や安置が必要な場合は、覚悟して受け入れる必要があります。 - 開眼供養や閉眼供養の有無を確認せずに引き継いだ場合は、引き継ぎ元の家族や親族と相談して、できるだけ早く開眼供養や閉眼供養を行うようにしましょう。
不信感や不満が生じた場合は、謝罪や説明をして、関係を修復する努力をしましょう。
開眼供養は、お墓や仏壇に故人の魂を宿す大切な儀式です。
開眼供養を忘れてしまうと、改葬先や処分先、引き継ぎ先とのトラブルに発展する可能性があります。
開眼供養を行う時期や方法については、宗派や地域によって異なる場合がありますので、事前に確認しておくことが大切です。
また、開眼供養を行わなかったことが発覚した場合は、早急に対応して、関係者との信頼関係を保つようにしましょう。
遺骨が取り出せなくなる
墓じまい後の供養方法によっては遺骨が取り出せなくなることがあります。
このような場合はどう対処すればいいでしょうか。
原因・理由
供養方法によっては遺骨が取り出せなくなることがある理由は、以下の通りです。
供養方法によっては遺骨が取り出せない理由
- 合祀型の永代供養や海洋葬では、遺骨を他の方の遺骨と一緒に埋葬や散布するため、個別に取り出すことができません。
- 樹木葬では、遺骨を樹木の根元に埋めるため、樹木を傷つける恐れがあるため、取り出すことができません。
- 手元供養では、遺骨を宝石やアクセサリーに加工する場合、元の形に戻すことができません。
事例
以下に、供養方法によっては遺骨が取り出せなくなる事例を紹介します。
Vさん
Vさんは祖父母のお墓を墓じまいし、近くの寺院が管理する合祀型の永代供養墓に納骨したが、後から母親が手元供養したいと言い出した。
しかし寺院からは「合祀型の永代供養墓では遺骨を取り出すことはできない」と言われた。
寺院には、「合祀型の永代供養墓は故人の魂が一つになって安らかに眠る場所であり、取り出すことは冒涜である」と主張された。
母親は寺院の意見に納得できなかったが、他の寺院も同じように言うと思い、ネットで調べてみると、分骨しておいた遺骨を手元供養する方法があることを知った。
現在母親は遺骨をペンダントに変えて、アクセサリーとして身につけている。
分骨しておいた遺骨を手元供養する方法は以下のようなものがあります。
・遺骨をペンダントや指輪に変えて、アクセサリーとして身につける
・遺骨をミニ骨壺やオブジェに収納して自宅や仏壇に置く
・遺骨を水晶やプレートなどのオブジェに加工して自宅や仏壇に置く
Wさん
Wさんは父親のお墓を墓じまいし、自然に還りたいという父親の願いに応えて樹木葬で埋葬したが、後から兄が家族のお墓を作りたいと言い出した。
しかし樹木葬を行った霊園からは「樹木葬では遺骨を取り出すことはできない」と言われた。
霊園は、「樹木葬では遺骨を樹木の根元に埋めるため、取り出すことは樹木を傷つけることになる」と説明した。
兄は霊園の説明に納得できなかったが、他の霊園も同じように言うと思い、ネットで調べてみると、分骨しておいた遺骨を改葬する方法があることを知った。
兄は分骨しておいた遺骨を別の霊園に建てたお墓に遺骨を移すことにした。
分骨しておいた遺骨を改葬する方法は以下のようなものがあります 。
・別の墓地や霊園に建てたお墓に遺骨を移す
・寺院や霊園などに遺骨の管理や供養を任せる永代供養墓に納骨する
・遺骨を海に散布して供養する海洋葬を行う
対策・解決方法
供養方法によっては遺骨が取り出せなくなることがあります。
その場合は、改葬先の寺院や霊園の管理者と相談し、適切な対処法を探すことが大切です。
また、供養方法を選ぶ際には、遺骨の取り出しや分骨の可否を確認しておくことも重要です。
事前に分骨しておけば、一部は手元に残して他は納骨や散骨するといった分骨での供養が行いやすくなります。
墓じまいで後悔しないためのポイント7選
墓じまいで後悔しないためのポイント7選
- 家族と事前にしっかり話し合う
- 気軽に手を合わせられる場所を作る
- 檀家でないかあらかじめ確認する
- お墓の閉眼供養・開眼供養を忘れないように
- 実績があり費用が安い代行業者を選ぶ
- 故人・自分の意思に沿った供養方法を選ぶ
- 元気なうちに墓じまいする
墓じまいに必要な手続き・書類
墓じまい後のご遺骨の供養方法(納め先の種類と選び方)
墓じまいの方法・やり方・手順・流れ
墓じまいの費用相場・補助金について
墓じまい代行の選び方
Q&A
まとめ
墓じまいをする際には、親族やお寺、石材店、改葬先などとのトラブルが起こる可能性があります。
墓じまいで起こるトラブル
後悔しないためにも、事前に起こりうるトラブルを予測し対策しておきましょう。